わたしは20歳になっていた。


和也がなれなかった20歳に。


わたしは歩きながら思った。


五体満足のわたしは、今生きているわたしは、当たり前じゃない。


健康に暮らせるって、なんて有り難いことなんだろうと。



わたしは思いっきり駆けた。

はためく髪を気にする事もなく、足がわたしの心についてきてくれる間、走り続けた。

その時、既にわたしの身体に異変が起きていたなんて、

夢にも思わなかった。