事故の後、大学の掲示板には事故のことが簡単に書かれた貼り紙が貼られた。


活字で書かれたその文章には、まるでリアリティがなく、全くの他人事のようだった。


また、テストの追試欄に和也の名前を見つけたりもした。

不審な点が多い事故で、始め報道された内容は事実とは違うらしく、当事者たちの間では、未だに解決していない部分もあるらしい。


何が真実であれ、和也が戻ってくることはない。


和也の彼女はどうしているのだろう。


亡くなったふたりの両親は、火が消えたようになっていると聞く。


彼らの悲しみを想像し、とてもお参りに行く気持ちになれなかった。


わたし自身、現場や自宅にお参りに行けるほど、心の整理がつくこともあるまいと思えた。