「・・・っ。腹いてー!」



春。
大学の入学式。

スーツに身を包んだ和也が、笑いながらわたしの方へやって来た。



「どしたの?」

「今集合写真でカメラマンが、『そこの太った君もう少し右。』とか言ってっ。
言われた人だけブルーで他笑いこらえてた!」

「ええっ、ひどい!」



和也のお陰で、見知らぬ人ばかりの講堂で緊張していた気持ちが解れた。

和也とは地元が同じで、顔見知り。
他にも数人同じ地元からこの大学へ入学しているはずだったが、人が多く、まだ誰とも出会えてはいなかった。