「死ぬのなんて怖くない……独りになるのが、怖いんだ」

 力が入った肩。

トン、トン、とリズムよく叩いて、わたしはレンの言葉を飲み込んでいく。


「独りに、しないでくれよ……っ」


 心に眠った本音。

レンがずっと抱えていた孤独に、触れた瞬間だった。



「レン、どこにいたってわたしはあなたがすき。……例え離れてしまっても、今度はわたしがみつけるよ」


 ゆっくりとレンは立ち上がり、涙で濡れる真紅の瞳をわたしに向けた。

弱々しく光る頬を、なるべく触れられるだけ手のひらで包んだ。


 冷たい涙は、わたしのものとなんら変わらない。

全てを愛しぬいてみせるよ―……。


 すっと踵を上げて、レンの吐息がわたしの口内に広がる。

触れ合う唇が、わずかに震えているのは……。



 そぉっと離れて、レンの真紅の瞳を覗き込む。

照れもあったのだけど、わたしの気持ち、通じたか確かめたかった。



「これ、わたしのファーストキスなんだからね?」


 大好きなレン。

あなたを『ヴァンパイア』という運命から、解放します。



「レン、わたしの『望み』を叶えて…?」