高校生でもなんとか手に届きそうなショッピングモールを出て、わたしたちは電車で15分揺られて移動した。


 改札口を知らず挟まれそうになったり、ホームに降り立とうとするレンを、あたしはお腹を抱えて笑ってた。


「…ったく、面倒だな」

 そういってしかめっ面をするレンが……わたしより大きくて年も取っているのに、カワイイって思ってしまったんだ。


 やはり車内でも人目を集め、じぃっと窓の外を見つめるレンの横顔はキレイ。

そして、特徴的な赤い瞳。

今はカラーコンタクトとかあるから違和感はなくなってきてた。


 むしろ、レンの魅力を引き出す一つの手段のようにさえ思えてくる。


 駅を下車して、わたしはレンの手を引いて歩く。


「どこに連れて行くんだ?」


 その質問には答えず、わたしはひたすら向かった。

アスファルトから熱気が昇ろうとも、一点を見据えて。



 ザ、ザン……。

静かに潮が擦れる音がした。

もう目的地は近いのだと、嗅覚にも伝わってくる。


 すでに太陽は傾きかけ辺りをオレンジ色に染めようとしていた。

これじゃあ、わたしの瞳まで紅くなってしまう。


「海、か……」

 レンはそう呟くと、漆黒の髪を潮風に預けていた。


 近所の人なのだろうか、犬を連れて浜辺を歩いている人もいる。

肩を寄り添いあって、わたしたちのように海を見つめるカップルもいる。



 わたしたちは……一体どんな風にみえるのだろうか。