青空の下、わたしの隣にはレンがいる。

授業が終わった早々、魔術書に大声で呼びかけたわたしに、ゆらりと木陰から現れたレン。

「何事だ」

 昨日のこともあって、レンも思うところがあったのだろうか。

神妙な顔つきでわたしを見つめてきた。


 でも、わたしは負けない。


「レン、わたしとデートしてくれない?」


 デートに誘ったのなんて初めてだけど、わたしには安心があった。

すこし変わった態度に、レンも戸惑いながら了承してくれた。




 早速町に出たものの、おかしなローブは悪目立ちする。

高校生が買える様なトコロで申し訳ないんだけど、胸がザックリと開いたTシャツにスリムジーンズを1着ずつ。

おかげで今月の財政は大変厳しくなってしまったのは、レンにはヒミツ。


「暑いな……」

 手のひらを額に当てて目元を影で遮る。

そんな仕草一つ、まさか彼がヴァンパイアなんて思う人がいるわけない。


「ねえ、レン?ヴァンパイアは陽の光やにんにくがダメなんじゃないの?」

 制服のスカートを揺らすように覗き込むと、面倒くさそうに見下ろしてきた。


「まだそんな話信じてるヤツがいるのかよ」

 呆れていたけど、まだこれくらいの季節ならわたしは好き。

もしかしたら、まだレンの遺伝子には残っているのかもしれない。



 そう考えたら、なんだか笑えてきてしまった。