「……っこの!」
神崎さんの鋭い視線がわたし…の後ろのレンに向かう。
「ちょっと、レン…っ!」
背中を抱え込まれ、膝の裏を持ち上げられて、わたしは力のはいらない体を懸命に揺さぶることでしか抵抗できなかった。
「カンザキ、これは俺とこいつの契約だ。ここがあんたの土地だろうが、知ったことではない」
レンがニヤリ、と笑った瞬間。
わたしの視界はすでに保健室でなくなっていた。
そして、頭の遠くで神崎さんの心配する声が……聞こえた気がした。
意外とレンの体温は温かく、また瞼が重くのしかかろうとしてた。
わたしと同じ、トクン、トクン、と鳴る鼓動。
「主よ……名はなんという?」
まどろみかけたわたしに、レンの通る声が降ってくる。
「…わたしの、名前は……」
さっきわたしが神崎さんの名前を口にしたときの、彼女の表情。
とても殺気に溢れていて、きっとこのレンに教えてはいけないのだ。
でも、レンはわたしが呼んだ。
……―恋を叶える、媚薬のために。
「椎名、よ」
神崎さんの鋭い視線がわたし…の後ろのレンに向かう。
「ちょっと、レン…っ!」
背中を抱え込まれ、膝の裏を持ち上げられて、わたしは力のはいらない体を懸命に揺さぶることでしか抵抗できなかった。
「カンザキ、これは俺とこいつの契約だ。ここがあんたの土地だろうが、知ったことではない」
レンがニヤリ、と笑った瞬間。
わたしの視界はすでに保健室でなくなっていた。
そして、頭の遠くで神崎さんの心配する声が……聞こえた気がした。
意外とレンの体温は温かく、また瞼が重くのしかかろうとしてた。
わたしと同じ、トクン、トクン、と鳴る鼓動。
「主よ……名はなんという?」
まどろみかけたわたしに、レンの通る声が降ってくる。
「…わたしの、名前は……」
さっきわたしが神崎さんの名前を口にしたときの、彼女の表情。
とても殺気に溢れていて、きっとこのレンに教えてはいけないのだ。
でも、レンはわたしが呼んだ。
……―恋を叶える、媚薬のために。
「椎名、よ」


