春は、こくりとうなずいてくれた。 ただ一言、 「会いたい」 そういって、にこりと微笑んだ。 「悠?」 「あ、ごめん」 「部屋いこう、布団出すよ。着替えも」 「ありがとう」 もし春がいなかったら、俺はどうなっていたのだろうか。 今頃なにをしていた? こうして普通に、高校生活を送れるのは、もしかしたら春のおかげかもしれない。 あと、は。 「姉貴、だけ」 「なにが?」 「……はやく、見つけような」 春の笑顔も、 姉貴の笑顔も、 「……うんっ!」 ――見たいから。