この日家に帰ることはなく、春の家にお邪魔した。 何度かお邪魔していたけれど、泊まるのは初めてだ。 「すいません。突然……」 「いいのいいの。悠君は春の想い人なんだから」 「なっ……お母さん!」 春の両親は、俺と春の交際を認めてくれている。 姉は姉。弟である悠君は関係ないから。 そう、言ってくれて。 家族のことで幾度か相談にのってもらっていたからか、親に詳しいことは教えないでくれた。