「ちょっと悠、そんな早く歩かないでよ」



無視


「悠ったら!」

「うわっ……」



やばい、引っ張られた。

いつの間にか路地裏に連れ込まれているし……助けが呼べない。


人通りが少ないのもある。

それと……


姉貴の唇が俺の唇と重なってる。


そうされると当たり前のように涙目になる。
弱い自分がいやになる。

姉貴の腕から逃れようとしたって、姉貴は俺を逃がさない。



……なんで俺、こんなに冷静なんだろ。



「何よ、悠。反応してくれないの? お姉ちゃん、つまらないんだけど」



あぁ、そうか。

姉貴が、俺の反応を楽しんでるのを理解したからか。


……でも、ここまで冷めてるなんて珍しいな。

俺、どっかおかしいのかも……。





「……ゆ、う……!?」



……え?