昼頃起きると部屋に麻衣はいなくて、リビングに行くとサンドイッチを食べる海くんがいた。


「あれ?麻衣は?」

「買い物、行きましたよ。すぐ帰って来るって」

「そうなんだ」


ボーっと食卓に座る私に、海くんがオレンジジュースを入れてくれた。


「アイツは?」

「北斗っスか?アイツはバイトです」

「バイト?」

「夏休みだけバイトするって…。あ、姉ちゃんには内緒にしてて下さいね」


海くんは「絶対、内緒っスよ」と、付け足した。


あまりに念を推すので不思議に思い、


「なんかヤバいバイトなの?」


と聞いた。


「いや、違うんスけど…。北斗が、姉ちゃんが心配っつうか、気にするからって…」

「あぁ…。そっか…」


そういうことなら、と納得して、


「わかった」


と答えた。