わたしは、家を出る前にあの箱をぐっと見つめた。 ずっと封印されたままの“あれ”を、このままわたしが持っていていいものなのか、と。 あの日に『これは、おまえに持っていてほしい』と渡されたのだけれど、 やっぱり、これはわたしが持っていていいものではない。 返そう。 それがいい。 そうすれば、きっと楽になれるかもしれない。 思い出に縛られる事なく。