全てがキミだった

――――――――――
――――――――




「なんだ、しっかり覚えてんじゃん」


忘れるわけがない。


あの出来事が、公平を好きになった瞬間だったのだから。






「池内、彼氏は?」


最後のスパゲティーを口にした公平が、ふいに話題を振ってきた。


わたしはただ、首を横に振る。


「……そっか」


少しの気まずさに、わたしの目が泳ぐ。


手探りでグラスを掴み、冷たい水を口に含ませた。


まだ、あの頃と変わらずあなたを想い続けているって、バレてしまっただろうか。


さすがにここまで想われ続けると、引いてしまうもの?