しばらく、わたしは一人で廊下に取り残されていた。 足が動かせなかった。 もう、帰ろう。 余計な事は考えない。 ――その時。 廊下に落ちるわたしの視界に、先ほど素っ気なく去って行った公平の足が映った。 はっとして顔を上げると、そこには、ハンカチを差し出す公平がいた。 「はい、これ」 驚いたわたしの顔は、相当酷い顔をしていたに違いない。 「おでこ、少し腫れてるよ。 これで少し冷やしとけよ。ちょっとは違うかも」