今度は、わたしの耳元で静かに声を出す。
「わたし、どうしたの?」
「あたしが蹴ったボールが頭に当たったんだ。
軽い脳震盪だって」
「あー、ごめん。
わたしホント何してもダメだね。
わたし重かったでしょ?ホントごめん」
少しでも体の向きを変えると、頭が割れる程痛かった。
「ううん。あたしじゃないよ」
――あ、先生か。
「ちゃんとお礼言いなよ」
「落ち着いたら行くよ。
田中先生でしょ?」
わたしは、放課後になって頭の痛みが引いたら、体育教官室に行ってお礼を言おうと思った。
それなのに、香織はキョトンとして、
ただ一言「違うよ」と言った。


