全てがキミだった



周りからキャーキャー言われるような存在ではなかったけれど、何故かわたしの目に一番にとまった。


香織が、『かっこいい』と目を向ける方向とはいつも反対側にいた公平。


わたしは香織の方には顔を向けずに、ずっと公平の方ばかり見ていた。


公平は、そんなに目立つタイプではなかった。


だけどわたしには、誰よりも輝いて見えていたんだ。



わたしは公平に憧れていた。


その頃は、『好き』という感情ではなく、ただの憧れだった。


遠い存在で、陰から見守るような――…



そんな存在。