全てがキミだった



「池内、最近どう?」

「あ、うん……
あの頃と全く変わりなし」


「ははっ、ドジなまんまってこと?」

「……違うよ。
ドジなんかじゃない」

「いや、おまえはドジだよ。さっきも一人でこけそうになってたし。
覚えてないのか?
おまえは体育の授業で、怪我をしなかった日はなかっただろ?」


その言葉で、一瞬懐かしいあの頃の記憶が瞼の裏をかすった。


まだ幼かった、


17歳のわたし達。


制服をなびかせながら、全力で走っていた頃。


過去に縛られてきたこの6年間の中で、一番鮮明に記憶が蘇った。