全てがキミだった



「池内、なんで俺がメールしても返してくれなかったんだよ」


おしぼりで手をふく公平が、口を尖らせながら言った。


「あ、うん……
ごめん」


俯いて答える。


どこかぎこちない。


これが、6年という時間の長さなのか。


一度も連絡を取っていなかったせいで、まるで初対面の人と接しているような緊張感がある。


それが、少しショックだった。


6年前のあの頃と、少しだけ変った気がした。