全てがキミだった



わたし達は、近くのファミレスへと移動した。


家族連れで賑わう店内で、わたしはぎこちなく席に着いた。


目の前に座る愛しい人の顔を見ることが出来ない。


意外と冷静な自分に驚いた。



「なんでも頼んでいいぞ。
おごってやるから」


そう言って、わたしにメニュー表を差し出す。


わたしは遠慮がちに公平からそれを受取って、中を開く。


公平も、同じようにメニュー表に視線を落としていた。


「俺、ミートスパゲティー。
池内は?」


「わたしは、ドリアで」

「了解。
すみませーん」


公平は片手を上げ、店員を呼んだ。


注文を済ませ、料理が運ばれてくるまで待つ。