「連絡は?
ちゃんと取ってるわけ?」
 

その言葉に、ううんと首を横に振る。


「一度も?」

「うん」

「高校卒業してから一回も?」

「だから、そう言ってるでしょ?」

「向こうからも一回も来てないの?」

「向こうからは、来た。
何回か」

「返信は?」

「途中まで打つけど、いつも途中で消しちゃう」
 

膝の上の手を絡めているとと、視界の隅に映る綾が片方の眉を上げた。


「あんた、そんなんで今でも引きずってるわけ?
なんで、そこで消しちゃうの?」

「だって、元気?って聞くのも、ああ公平はわたしの傍にいないんだなって悲しくなっちゃうし、最近どう?って聞くと、そこで美咲の名前が出てくるかもしれないし。
自分から終わらせるような事なんて聞けない」