全てがキミだった

―――――――――――
――――――――…



「何度も言うけどさ、もうそろそろいいんじゃない?」
 

わたしのベッドの上でペディキュアを塗る綾が、作業の手を止めずに言った。


「次みつけなって」
 

言われたわたしは、折りたたみ椅子に座りながら頭を垂れる。


「さすがに引きずりすぎでしょ。もう何年?
一、二、三……六年くらい経ってるじゃん」
 

綾はペディキュアを塗る手を一旦止めて、指を折り数え始めた。
 

引きずりすぎ――…
 

確かに六年は長すぎると思う。


何度も振られているというのに、なぜか、諦められない。
 

振られても振られてもめげずに好きで居続けられたのは、年齢のせいだったのだろうか。
 

当時十七歳のわたしは、確かに若かった。
 

今とは違って、何事にも真っ直ぐだった。


輝くものが大好きだった。