「あ、ごめん。
ついつい陸に目がいっちゃって」
そう言いう香織は、教室に体を引っ込めて、そのままわたしの前の席に腰かけ、悪びれもせずテヘっと笑った。
「年下って、そんなにいい?」
わたしは、頬杖を付きながら香織に聞いた。
「うーん、陸は年下って感じはしないよ。しっかりしてるから」
香織はそう言って肩をすぼめる。
香織の彼氏はサッカー部の二年生。
香織はこの前サッカー部のマネージャーを引退したばかりだ。
部室にでかでかと『部内恋愛禁止!』と書かれているのにもかかわらず、堂々と付き合っている。
恋愛して何が悪いのよ、と、香織はよく頬を膨らませていた。
引退した今では、少しは自由になったみたいだけれど。
「亜美、進路どうすんの?」
まだ窓の外を眺めている香織がどこか抜けた声で聞いてきた。
「就職するよ」
「マジで?」
「マジで」


