徳沢アラタ





いつも助けてくれるあの体育教師の名前が表示されている。



通話ボタンを押すと、通話口から威勢のいい声が聞こえてきた。



「カ〜ヅキ!元気かぁ??」


「あ〜」



あたしはアラタのテンションについていく事が出来ず、適当に返事をした。



「なんだ、その返し。どんだけやる気ねぇんだよ。学校休むなよ。俺、今から迎えに行こうか?」



一人でいるよりいくらか気が楽になるかもしれないと思い、アラタの好意に甘える事にした。


「うん、来て」







10分後。



インターホンが鳴った。



アラタだとわかっていたので、そのまま家を出た。



「おはよ。お前、大丈夫か?」



あたしの顔色はそうとう悪かったらしく、アラタは心配そうに言った。



「大丈夫。迎えにきてくれてありがとね」



珍しく素直に礼を言ってみた。



アラタは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに優しい笑顔を向けた。