頷きながらあたしはあやめの隣に座ると、彰が立ち上がった。




「やぁ、美春ちゃん」




あたしを呼ぶ声が聞こえ前を向くと、にっこりと笑う男の子が座っていた。


「誠司くん!いたの?」



入って来たときは、彰が盾になって見えなかった。


彰が手にお茶を持ってくると、あたしの前に置いてから誠司くんの隣に座った。



「存在感ないわね。誠司」


「…悲しいよ」



黒縁メガネをかけて彰と話をしているこの男の子は、真宮誠司(シングウ セイジ)くん。


彰の彼氏さん。



誠司くんもあたしが男の子が苦手なことを知っている。


彰が話をしたみたい。


それを分かっているから、誠司くんはあたしの嫌いなことをしない。


彰も「誠司は大丈夫だから安心して」って言ってたし。



みんな、誠司くんみたいな心優しい男の子だったらいいのに。