「…あ、ねぇ!」 呼び止める声が聞こえるけど、あたしは無視して走り続けた。 「べーんーとーうッ!」 …へ? お弁当? ……!! そういえば、あたし持ってない。 たぶん男たちに掴まれた時に落ちたんだと思う。 思い出したあたしはバッと後ろを振り返り、男の子を見た。 手にはお弁当箱が入った袋のひもを持ち、ぶらぶらと振り下げている。 取りに行きたいんだけど… 「…あの、そのお弁当を下において十歩下がってもらえますか?」 「は?」 .