数分が過ぎる頃…

『ごめんね…』

祥乃はそう言って敬大から離れ、涙を拭きまた車を走らせた。

そして二人を乗せた車は、海に面した綺麗な夜景スポットにたどり着いた。

祥乃は車を止め、車から降りた。

敬大も車から降り、車の前へと歩いた。

『すっごい夜景が綺麗だね…』

祥乃は宝石のように煌めく夜景に感動していた。

『確かに…』

敬大も夜景に見とれていた。

『何か癒されるって言うか…元気が出るなー。明日も頑張ろうって思えるね』

祥乃は夜景を見つめながら敬大に言った。

すると窓の開いたままの車の中の、鳴らしたままのラジオから曲が流れ始めた。

『あ、この曲…』

祥乃は曲に耳を傾けた。

『えっ?』

『この曲を歌ってるのリョータって歌手なんだけど…あたしのお兄ちゃんなんだ』

『へぇ〜、お兄さんいたんだ。お兄さんはミュージシャンなのか…』

敬大は少し驚いた。