ミュージック・ラブ3〜愛を奏でるメイフラワー〜

『この頃は素直で泣き虫で可愛いかったのにね』

桐丘レイは笑って言った。

『うっせーな。写真なんか見てないでさっさと部屋を片付けようっと』

蓮は話題を変えるように部屋の片付けに戻った。

そして1時間ほどが過ぎる頃、蓮の部屋はガランと片付いた。

『じゃあ、よろしくお願いします』

蓮は宅配業者に実家宛の荷物と今度自分が住む場所宛の荷物とを渡した。

『では、明日の午前中にお届け致します。どうも、ありがとうございました』

宅配業者を蓮に頭を下げ、トラックに乗り込みさっそうと走り去った。

『後はこのアパートの部屋の鍵を大家さんに返して、この部屋とはサヨナラか…』

蓮は鍵を握りしめ、もう一度ガランとなった部屋を見回した。

『あらら、もしかしてこの部屋との別れが寂しいの?』

桐丘レイは笑ってそう言いながら、ひじで蓮の腕を突いた。