4ヶ月余りが過ぎ、夏が終わり秋になる頃―

『かっ飛ばせー、金原!!』

『ホームランだ、金原』

球場のスタンドからは精一杯の応援が送られた。

プロ野球ではプラスターズとマイナーズのリーグ優勝を決める大切な一戦が行われていた。

<9回2アウトランナー1、3塁。バッターはマイナーズの4番金原>

球場内にアナウンスが響き渡った。

『4対3…ここで打たれたら逆転で、終わりか…』

スタンドから野球を観戦している友也は、両手を握りしめグラウンドをじっと見つめた。

『ファウル!!』

球審の声が聞こえた。

バックスクリーンに表示されているカウントは…2ストライク3ボール…フルカウントだった。

『あと1球…』

友也は願いを込め目を閉じた。

『ストライク!!バッターアウト!!』

主審のその声に歓声とどよめきが起こった。