そして敬大は何を思ったのか、おもむろにベッドの横の棚の引き出しを開いた。

『こ、これって…』

敬大は引き出しの中に閉まってあった、昔駄菓子屋で買ったオモチャの指輪を見つけ、そっと手に取った。

『From K to K…』

敬大は指輪の裏側に書かれた文字を読んだ。

その瞬間、敬大の脳裏に衝撃が走ったと同時に敬大はスッキリとした表情を見せた。

そして敬大はその指輪をただ静かにじっと見つめた。

自分でも気付かずに、何時間もただじっと指輪だけを見つめていた。

そしていつしか日が沈み、月が顔を覗かせる頃…

敬大は指輪を手に握りしめ、病室から勢いよく飛び出しぎこちない走りで走り出した。

その頃楓はバイトが終わり、スーパーの袋を片手にゆっくりと歩いていた。

楓が橋の上を歩いていると、反対側から仲よさ気なカップルが話をしながら歩いて来た。