『ごめんなさい。今の僕には何もわからないんです…』

敬大は申し訳なさそうに言った。

『そんな謝らんでええよ。記憶を失くしてても、今俺の目の前にいるのは敬大やからな』

誠治は笑顔で言った。

『誠治さん…。でも僕と誠治さんが知り合いだなんて…正直驚きです。誠治さんはこんなすごい有名人なのに』

敬大はTVに映る誠治を見て言った。

『何言ってんねん敬大。俺はお前に出会ってなければ今の俺はない。お前が俺に“歌”を教えてくれたんやからな』

誠治はそう言って笑いかけた。

『でもまあ、記憶は失くしてても敬大は元気そうで良かったわ。ほな、俺は仕事があるからもう行くわ』

誠治はそう言って手を振り、病室を出て行った。

『歌か…思い出せない。俺の歌…愛のかたち…愛のかたち!?そういえば愛のかたちって歌…なんで覚えてるんだろう…この歌は俺の気持ち…!?』

敬大は頭を抱えて考えこんだ。