3日余りが過ぎる頃…

『敬大、おはよう。窓開けるね』

敬大の病室に訪れた楓は、敬大に話しかけながら窓を開けた。

4月の風がそっと窓をすりぬけ、春のにおいを病室内に運びこんだ。

『今日も良い天気だね』

そう言って楓は、敬大の病室の棚の上の花瓶を手にとった。

『ちょっと水かえてくるね』

楓は花瓶を持って病室を出て行った。

楓は病院内の給湯室で花瓶の水をかえた。

『楓、ここにいたんだ』

給湯室に蓮が姿を見せた。

『あ、蓮君…』

楓は蓮に気付いた。

『なあ、楓。敬大があんな状態の時に言うのもなんだけどさ…延期した結婚式の日取りどうする?』

蓮は途中で中止にした結婚式の日取りを楓に尋ねた。

楓はそれを聞いて、何かを考え込むように黙り込んだ。

『楓?』

蓮はそんな楓の様子が少し気になった。