『俺は良いよ…』

敬大は歌うのを拒んだ。

『はあ?何で歌わないんだよ?…まあ、歌わないなら俺が代わりに歌うか』

そう言って友也は、曲を適当に選んでまた歌い出した。

歌うの事を拒んだ敬大を楓はじっと見つめた。

『楓ちゃん。携帯の番号教えてよ?』

蓮が楓に話しかけた。

『えっ…うん』

楓は鞄から携帯電話を取り出し、蓮と番号の交換をした。

『おーい、ソコ!!ちゃんと俺の歌を聴けー!!』

歌を歌っていた友也が、蓮に注意した。

『友也の奴酔っ払ってるな…帰りが大変だな、きっと』

蓮は敬大に小さな声で言った。

そして5人は2時間程カラオケを楽しんだ。

テーブルの上にはグラスやお皿が散乱していて、友也はソファーに寝転び寝言を言いながら眠っていた。

『さあ、そろそろ帰ろうか。俺タクシーで友也を送ってくから、敬大は咲稀ちゃんと楓ちゃんを家まで送って行ってやれ』

蓮はそう言って、眠る友也を背負った。