4年の歳月が流れた。

桜の花びらが雪のようにひらひら舞い落ちて、儚く切なく…そして淋しげに人の心を染めて行く。

『敬大!?どうしたんだよボケっとして…』

敬大の友達の友也が、桜の生い茂る橋の上から川を見つめている敬大に言った。

早川 友也(ハヤカワトモヤ)。施設で育った友也は、不良だった高校時代に担任を金属バットで殴り、少年院送りとなってそこで敬大と知り合った。

『ちょっと昔を思い出してたんだ』

敬大はそう言って、しばらく川の上に浮かんでいる桜の花びらを見ていた。

『あー、この前の合コン最悪だったよ。ちょっと俺が少年院出だって知っただけで、周りの奴ら白い目で見やがるんだぜ』

友也は橋にもたれて愚痴を零していた。

『そっか…』

敬大は軽く返事をした。

『そりゃ確かに少年院にいた=犯罪者だったって事だから、軽蔑すんのもわかるけどさ…普通に接して欲しいよなー。そう思うだろ敬大?』

『そうだな…』

『そうだな…って、おいっ!!敬大!!お前さっきから川見つめてばかりじゃんか。何が気になるんだよ?』

そう言って友也は川を覗きこんだ。