『このネックレスはね、あたしの母親の形見なの。あたしの母親が大切にしてた桐丘家に代々伝わる宝物だよ。あー、良い感じに似合うね』

桐丘レイはネックレスをはめた楓の姿を見て言った。

『こんな宝物貰えないですよ』

楓はネックレスを外そうとした。

『あー、いいのいいの。あたしには当分必要のないネックレスだし、楓ちゃんに持ってて貰いたいしね。だからそのネックレスは楓ちゃんがはめてて』

レイは笑顔で言った。

『ありがとうございます。大切にします』

楓はレイに頭を下げ、お礼を言った。

『でもまさか蓮に先に結婚されるとは思っても見なかったな…。蓮って自由奔放なところがあるからさ、楓ちゃんはしっかり蓮を捕まえていなよ』

『レイさん…』

『蓮と幸せな家庭を築いてね』

『はい』

楓は元気よく返事した。

その返事を聞いたレイは笑顔を見せて控え室を出て行った。