色んな思いを抱えたまま敬大にとっての長い夜が明けた。

『さてと、行くか』

敬大は身支度を済まし、自らのデビューライブ会場へと歩きだした。

『何か…今日が俺のデビューライブの日だからかすがすがしい気分だな…』

敬大は晴れ渡る空と同じように気分も晴れ晴れとしていた。

敬大が会場に到着すると、ド派手な野外ステージが姿を見せた。

『お、来たな。どうだ凄いステージだろ?』

ステージを眺める敬大にシンが声をかけた。

『俺…こんな凄いステージで歌えるんですね』

敬大は唾を飲んだ。

『ああ、そうだ。年に2回行うWMRのライブだからな。5万人は余裕で収容できる会場だぞ。1万人規模のミュージックバトルコンテストと比べものにならないだろ?』

シンは自信満々に言った。

『はい…』

敬大は少し恐縮していた。

『よし、敬大。リハーサルやるから控え室に荷物置いて早速ステージに上がれ』

シンにそう言われ敬大はステージの裏のテントで作られた控え室に向かった。