『今日はありがとう敬大。独身最後の日に付き合ってくれてさ』

楓は笑顔で言った。

『こっちこそ。楓のお祝いのために俺が誘ったのに、何か高校じゃサプライズで俺が驚かされたし…』

敬大は笑っていた。

『前にね、蓮くんに言われたんだ。敬大の心にぽっかりあいた穴を、敬大の昔を知ってるあたしだからこそ埋められる部分があるって…だから、どうしても結婚するまでに何か敬大の力になりたかったんだ』

楓はそう言って優しく微笑んだ。

『ありがとう楓。今日のお陰で、自分の過去とちゃんと向き合えた気がした。少し自分の過去に笑顔を見た気がしたよ』

敬大もそう言って優しく微笑んだ。

『そっか、なら良かった。これであたしの気掛かりもなくなったし、心置きなく結婚できる』

楓はそう言って、左手薬指の指輪を見つめた。

『蓮なら…蓮ならきっと楓の事幸せにしてくれるよ。誰よりもきっとさ』

敬大は指輪を見つめる楓に優しく言った。