敬大にとって23回目の桜の季節が訪れた。

『待たしてごめんな、楓』

敬大は楓を呼び出し、駅前で待ち合わせをしていた。

『大丈夫だよ、あたしもさっき来たばかりだから』

楓は笑顔で答えた。

『結婚式の前日で忙しいのに、本当にごめんな』

敬大は手を合わせて謝った。

『明日の事はもう大丈夫だから、全然平気だよ』

楓は笑顔で言った。

『でも俺のわがまま聞いて、わざわざ来てくれてありがとうな楓』

敬大は笑顔で言った。

『でも一体どうしたの?敬大があたしを呼び出すなんて珍しいから、ビックリしちゃった』

『今日は幼なじみとして…どうしても楓を祝ってやりたくってさ。結婚&就職おめでとう』

敬大は優しく微笑んで言った。

『あ、ありがとう』

楓は凄く嬉しそうだった。

『じゃあ、行こうか。お祝いに夕食でもおごるよ』

敬大はそう言って歩き出した。