『うん、大切な人が小さい頃からずっと見てた一途な夢が叶って欲しいから…だから、その大切な人がケガをした時からずっと続けているの。もう絶対諦めたりなんかしてほしくないし…』

楓は自分の願い事を神主さんに告げた。

『だから楓の奴、クリスマスの日あんなに手が冷たかったのか…。楓…』

楓の言葉をそっと聞いていた敬大は胸が苦しくなり、楓に見つからないようにさっさとその場を立ち去った。

『その大切な彼は幸せものだね。楓ちゃんがこんなにも思ってくれてるんだから』

神主さんはそう言って優しく微笑んだ。

『でもあたしの思いはずっと一方通行のままだったんだけどね』

楓はそう言って軽く照れ笑いをした。

『よーし、じゃあワシも楓ちゃんの大切な人の夢が叶うように、毎日神様にお願いしとくよ』

『本当に?ありがとう、神主さん』

楓は笑顔でお礼を言った。

敬大の夢はみんなに応援され、いつしか敬大一人の夢ではもうなかったのだった。