白い季節もようやく終わりを迎えようとしていて、春ももうそこまで来ていた。

『よく頑張ったね敬大君』

リハビリ室で香月が笑顔で言った。

『ありがとうございます。これも香月さんのお陰です』

敬大は香月に頭を下げた。

『この3ヶ月間、君は本当に頑張ってたもんな。前みたいにとは行かなかったけど、でもここまで指が動くようになるなんて、まさに奇跡だよ』

香月は敬大の左手を手に取って言った。

『奇跡を信じて頑張って良かったです』

敬大は自分の左手を見つめて言った。

『これならもう一度ギターを弾けるよ、敬大君』

『はい。本当に今まで毎日のようにリハビリに付き合ってくれてありがとうございました』

敬大はもう一度深々と香月に頭を下げた。

『僕も敬大君を応援してるからミュージシャンとして頑張って』

香月は敬大にエールを贈った。

そして敬大は病院を後にした。