夜が明ける頃、敬大は病室のベッドで目を覚ました。

敬大は痛みをこらえながら、上半身をそっと起こした。

敬大が病室内を見回すと、敬大のベッドに持たれかけながらレミが眠っていた。

端にあるソファーでは蓮が眠っていた。

敬大は落ちかかっている毛布をレミにそっと被せた。

そして敬大は包帯でグルグル巻きにされている左手をじっと見つめた。

すると病室に楓が入って来た。

『け、敬大!!』

楓は目を覚ました敬大を見て笑みを浮かべた。

『楓…。みんな付き添ってくれてたんだ、ありがとう』

敬大はそう言って楓に優しく笑いかけた。

『敬大、大丈夫?まだ痛む?』

楓は敬大に歩み寄った。

『うん…けど大丈夫。それよりお腹減ったな…』

敬大は右手でお腹を押さえた。

『あ、じゃあ蓮君のお父さんから差し入れで貰ったバナナがあるから食べる?』

楓は机に置かれているバナナを1本取った。