数日後…

敬大と友也は建築現場でバイトをしていた。

敬大は積まれた材木の上に座り、スッキリと澄み渡る青空を見上げていた。

『おい、敬大!!なにサボってんだよ!!現場監督に怒られるぞ』

友也は汗を拭きながら、敬大に言った。

『友也…今日の空は青いな』

敬大は空を見つめながら言った。

『はあ?いきなり何だよ?』

『空には太陽があって、雲があって、鳥がいて虫がいて…空という名の世界でみんな自分らしく共存してる。なのに…この地上という名の世界では、同じような事が出来ない…。黒を黒だと言えない、黒を白だと言わされてしまう。そのうち自分の色を見失って、気付けば自分が誰なのかもわからない。人には言葉があるから、人の心を傷つけ自分を偽ってしまう…なーんてな』

敬大は淋しげな表情で空を見つめていたが、すぐに友也の方を見て笑いかけた。

『前から思ってたけど、敬大ってたまに変な事いうよな』

友也はそう言ってニコッと笑った。