『敬大、ようやくここまで来たか』

リョータは笑顔で言った。

『はい、ようやくたどり着きました。俺頑張ります』

敬大は意気込んで言った。

『よし、敬大。レコーディング始めよう』

シンがそう告げ、敬大のレコーディングが始まった。

レコーディングしているそんな敬大の姿をシンとリョータはじっと見つめていた。

楽しそうに歌う敬大の姿をじっと見つめていた。

契約を交わした今日を境に、敬大はプロの仲間入りを果たした。

幼い頃から夢見てたミュージャンと言う“夢”の花が、今誰よりも美しく眩しく輝かしく咲いたのだった。

この日レコーディングした曲が、のちに敬大のデビューシングルとして発売される予定になっていた。

今踏み出したこのミュージャンの一歩がどんなに大変で、どんなに重いものだったか敬大は誰よりも痛感していた。

この一歩がなかなか踏み出せなかったから余計に…。

掴んだ夢を敬大は、もう絶対放さないと心に誓っていた。