母の死から5日が過ぎる頃、敬大は母の死を乗り越えて、夢が現実に変わろうとしていた。

数社のレコード会社から契約話が持ち掛けられていた敬大が選んだのは、リョータが所属するホワイトミュージックレコード(WMR)だった。

敬大は契約を交わすために、ギターを背負いWMRにやってきた。

社内に入った敬大はロビーで待っていた音楽プロデューサーに気付いた。

『あの、すみません。初めまして瑞輝 敬大と申します』

敬大は椅子に座るプロデューサーに挨拶をした。

『初めまして、リョータのプロデュースしているシンです』

シンは椅子から立ち上がり、敬大に名刺を渡した。

『シンさんって確か…昔デッドスターってバンドのヴォーカルやってましたよね?』

敬大は名刺を見て尋ねた。

『へぇー、俺の事知ってるんだ。たいていあの時期は誰もがフレンズってバンド一色だったから、デッドスター自体を知ってた事は驚きだよ』

シンは笑って言った。