敬大は机の引き出しから、母が送って来た手紙をそっと取り出した。

敬大は手紙の封をあけ、中身を取り出し読んだ。



敬大へ

敬大、元気でいますか?風邪はひいていませんか?ごめんね敬大。私をかばって少年院に入ったのに、私は世間体を気にしたあまり、あなたを置いていなくなってしまって…こんな自分勝手で弱い母を許してください。

母より。



1通目の手紙には謝罪が書かれていた。

敬大は次に2通目の手紙に目を通した。

そして3通目…4通目と目を通した。

どの手紙にも謝罪と敬大を心配する無意識の親心が詰まっていた。

そして1通目から2通目…3通目と行くたびに、文字数が減り、字も弱々しくなって行き、5通目には子供が書いたような雑な字でただ一言“ごめんね”とだけ書かれていた。

その様子から母親の病状が悪化していくのがうかがえた。

『母さん…自分が病気と闘ってるくせに、俺の心配ばっかしてんじゃんか…』

手紙の上に涙が落ちた。

敬大はこの世を去った母の事を思い、大粒の涙を流したのだった。