『敬大!!』

敬大が病院から出て来ると、誠治が待っていた。

『敬大、敬大のオカンどうやった?』

誠治は心配そうに尋ねた。

『さっき空に上っていったよ』

『そうか…』

誠治は悲しんだ。

『母さんさ、息を引き取った後も笑ってたな』

『そうか…笑顔やったか。良かったやん』

『うん』

敬大は深くうなづいた。

『ほら敬大ギターや!!』

誠治は敬大にスタジオに忘れて行った敬大のギターを渡した。

『駅まで送ってたるわ。後ろ乗れや』

誠治にそう言われて、敬大は自転車の荷台に乗った。

そして二人は大阪駅にたどり着いた。

『敬大、ほなまたな。今度は、俺に会いに来るのを1番の理由に大阪まで遊びに来いよ』

誠治は駅の改札で敬大に言った。

『誠治さん、本当にありがとうございました。誠治さんがいなかったから俺…母さんに会わずじまいでした』

敬大は誠治に頭を下げた。