『俺も敬大みたいな歌が歌えるようにイチから出直して頑張るわ。ホンマ気付かせてくれておおきにな』

誠治はそう言って、両手で敬大の右手を掴んだ。

『敬大、今度はプロになったステージの上で一緒に共演でもしたいな。楽しみにしてるわ』

誠治はギターを背負い、黒い長髪を靡かせながら控室を出て行った。

『誠治さん…。わかりました、プロのステージの上で待っています』

敬大は去って行った誠治の姿を見つめながら、そう呟いた。

そして敬大もギターを背負い控室を出ると、控室のドアの外でリョータが立っていた。

『リョータさん!!』

敬大は驚いた。

『敬大くんの歌聴かせて貰ったよ。最高だったよ』

リョータはそう言って右手でこぶしを作り親指だけを立てた。

『俺また夢を追いかけて良かったです。こんなに楽しいなんて…本当に良かったです』

敬大は自分の胸のうちを強く語ったのだった。