『そうか…お前ら二人が付き合うなんてなー、思ってもいなかったなー。でも蓮は頼りになるし、強いし、兄貴肌で良い奴だし、きっと上手くやれるよ。蓮と仲良くな。じゃあな』

敬大は笑顔で楓に手を振り、暗闇へと消えて行った。

『まだ蓮君に返事してなかったんだけどな…。何で素直に言えなかったのよこの気持ちを…あたしのバカ…』

敬大の姿が見えなくなった瞬間、楓はその場に崩れ落ち目から涙を零した。

『あたし…本当は…本当は敬大が…ずっとずっと好きだったのに…』

楓は敬大への届かぬ思いを、この夜涙と一緒に心の奧から枯れ果てるまで流したのだった。

二人の関係は“幼なじみ”から何も変わらないままだった。

切なさで染まる、泣き濡れる一人の楓を星屑が照らし、そっと優しく慰めていてくれた。

幼なじみとしていつも近くにいすぎたために、いつまでも伝えられなかった楓の思いが…

そっと夜に溶けて消えて行った。