『敬大、もう一度ミュージシャンになる夢を追いかけるんだね』

楓は自分の事のように喜んでいた。

『ああ。どこまでやれるかわからないけど、コンテスト頑張ってみるよ』

敬大は自信に満ち溢れた様子で言った。

『やったー!!敬大がもう一度…敬大がもう一度ミュージシャンを目指してくれる。夢を追いかけてくれる』

楓はすごく嬉しくてたまらなかった。

『か、楓…ちょっと喜び過ぎなんじゃないか?まだコンテストに出場するって言っただけで、プロのミュージシャンになった訳じゃないんだからさ』

敬大は楓のあまりの喜びように、少し照れて恥ずかしい気分になった。

『プロとかそんなじゃなくて、敬大がもう一度夢を追いかけてくれることが、それが1番嬉しくて…』

そう言って楓は嬉しく涙を流した。

『お、おい!!な、泣くなよ!!』

敬大は楓の涙を見て焦った。