あの日以来敬大はもう一度ミュージシャンとしての道を歩き出した。

自分の…自分だけの夢のために、確かな一歩を歩み始めていた。

『どうしたの敬大?』

敬大に呼び出させれた楓は、星屑が浮かぶ川の上の橋で、川を見つめる敬大に声をかけた。

『こんな夜更けに呼び出して悪かったな楓。でもどうしても1番に楓に報告したくてさ』

敬大は楓の方を振り向いた。

『ううん…いいよ。あ、あたしも敬大に…伝えなきゃならないことがあったし…』

楓はしどろもどろしていた。

『えっ?何?俺に伝えなきゃならないことって?』

『あ、ううん…敬大から言って』

『そうか…じゃあ、俺から言うけど…俺さ、今度開催されるミュージシャンバトルコンテストに出場しようと思うんだ』

『えっ、本当に!?』

敬大の言葉に楓は驚いていた。

『本当さ。今日エントリーも済まして来た』

敬大は笑顔で言った。