『アンタが医療ミスを起こした本人だって知った時は、本気で許せなかったけど…アンタはずっとあの時の医療ミスを忘れずに、ずっとその苦しみと戦ってきたんだ。それに患者さんが言ってたよ、院長先生はいつも親切で誰よりも1番に患者の事を思ってくれてるって…そんなアンタだから、いつしか俺は心の中ではいつの間にか、アンタを許していたんだと思う』

蓮のその言葉に院長は言葉をなくしていた。

『もちろん、あの時の事実は変わらないけど…俺はアンタが親代わりで良かったって心の底から思ってるよ』

蓮はそう言って優しく笑いかけた。

『蓮…ありがとう。こんな私を許してくれて…』

院長はもう一度頭を深々と下げた。

『なあ…オヤジ。夕食まで時間あるし…一緒にゲームをやろうよ』

蓮は笑顔でそう言って、院長の手を軽く引っ張った。

『蓮…。ああ、やろう』

院長も笑顔で答えた。

この日を境に血の繋がらない二人の絆は、本当の親子以上に強い絆となったのだった。